SWOT分析のコツ
「SWOT分析」は市場分析の代表的ツール。教科書を読んでやり方はわかったけれど、いざ実際に目の前にすると何を書き込んだらいいのかわからない、ということはありませんか?
今回は、SWOT分析の4つのパーツのうちの一つである「自社の強み」の書き方について、ちょっとしたコツをご紹介します。
「”自社の強み”なんてありません・・・」
先日とある企業で行ったワークショップでのこと。参加者に「自社の強み」を書き出してもらったのですが、
「えぇ〜っ?自社の強み?・・・」
と、みなさん考え込んでしまいました。
「ウチは昔からあるB-B事業。商売の仕組みはシンプルで工夫のしようもない。他社を見てもたいして変わり映えしないし、特にこれといった強みなんてないんです・・・」
とのこと。
それでも頑張って絞り出してもらったのですが、確かに「これだ!」という強みはあまりありませんでした。
「自社の強み」が難しい理由。
SWOTの「自社の強み」のパーツは、自社のことだから当然スイスイ考えつくはず?
しかし意外と苦戦することがあります。
例えば、「自社」を「自分」に置き換えてみるとやりにくさの想像がつきます。
「”自分”の強みは何ですか?」
これは就活などでのお決まりの質問ですね。私はこの質問が大の苦手でした。「自分の強み」をサラっと言ってのける人を見ると羨ましくもあります。
「自分の強み」なんて思いつかないのです。自分の”得手不得手”は何となく把握していますが、それが”強み”と言えるかというと疑問です。自分では”強み”だと思ったとしても、実際に周りから見たら大したことないかもしれません。
企業やサービスにおける「自社の強み」もこれと似ています。
自社の強みは自分事すぎて逆にわかりにくい。
ちょうど、カメラを被写体に近づけすぎるとピンボケしてしまうのと同じです。
「自社の強み」は「他者の目」を借りて考える。
自社の強みは「他者の目」を借りると、驚くぐらいスムーズに把握できます。
先ほどのワークショップでは、別途時間をとって「お客様アンケート」をとることにしました。
「お客様アンケート」と言ってもたいそうなものではなく、コピー用紙1枚に収まるシンプルなものです。
それをお取引先に配ってもらいました。
配ると言っても1枚1枚手渡すわけではなく、メールに添付して送信ボタンを押すだけ。あるいは、今はオンラインで簡単にアンケートフォームも作れるので、そのリンクをお客様に送ります。ずいぶんと楽なものです。
集まった回答は20件弱。
決して少なすぎるなんてことありません※。有り余るほどのたくさんの「強み」が出てきました。先ほどワークショップで自分たちで絞り出したものの倍以上の量です。中には「えっ、こんなことが?」という思いもよらないものもありました。
お客様はよく見ていらっしゃいます。
そして、お客様から見た「自社の強み」は自分達で考える「強み」よりもはるかに重要です。なぜならそれが購買要因、つまり、「売り」につながっていることが多いからです。
※統計的有意を気にする場合は大量のデータが必要です。
まとめ:「自社の強み」は2つの視点で考える
もしSWOT分析をしようとしていて、「自社の強み」を考えるのに押し詰ってしまったら、次の2つに分けて考えてみてください。
1. 自身が把握している強み
2. 他者から見た強み
1は自分で考えるしかありません。2はとにかくお客様に聞いてみるのが一番です。時間がなければ2〜3人でも十分です。
1と2の双方から考えることで、「自社の強み」欄はあっという間に満杯になります。
また、1と2の視点を組み合わせることで、ちょうどコインの裏表を見るように、「自社の強み」を立体的に把握することができるようになります。