マーケティングプランに必要な2つの相反する要素
先日行った半日集中講座で参加者から質問を受けました。
「ターゲットを考える際にどうしても主観が入ってしまうがどうしたらよいか?」
シンプルですが、とても奥深い悩みです。
マーケティングプランに客観性はどこまで必要か?
「それはお前の独断と偏見なのではないか?」
これは、提出したプランに対してよくあるダメ出しのセリフ。
一生懸命考えたマーケティングプランなのに否定されてしまう。当たり前だが非常に残念。だから「独断と偏見」と言われないために、自分の主観は極力排除して客観的に考えたい。
気持ちはよくわかる。私自身にもそういう経験がある。
だが結論を言うと、マーケティングプランを完全に客観的に考えることは無理だ。
人間が考えている限り必ず主観は入る。
むしろ主観を排除しようとする方が難しいと思う。
膨大な分析とデータ解析をすることにより客観性を高めることはできるかもしれないが、そのために膨大な時間と労力をかけることが生産的だとは思わない。
また、客観性を突き詰めようとデータを精緻化させると、たいがい逆効果になる。
ややこしすぎて理解されないからだ。
理解されないプランは実行されない。
最低限のロジックは必要。
一方で、半日集中講座の参加者5人のうち4人が悩んでいたのが、
「プロジェクトリーダーが主観的な独りよがりのマーケティングプランを強引に推し進めるので納得できない」
という悩み。
いわゆる「声の大きいオジサン/オバサン*に乗っ取られる問題」だ。
*多くの場合「大きな声」の主は経験豊富な年長者であることが多いので、こう呼ぶことにしている。
世の中、思いつきと直感で考えられているマーケティングプランもかなり多い。
というより、前述にあるように「完全な客観化は無理」であれば、マーケティングプランには多かれ少なかれ「思いつきと直感」の要素が含まれている。
だがたとえ「思いつきと直感」の要素があるとしても、それを周りの人が理解できるように最低限のロジックを組んで説明する必要はある。
それをしないのはマーケターとして片手落ちだ。「声の大きさ」で「強引に推し進める」ことができるのも立派な実力だとは思うが、今どきのやり方ではないなと思う。
マーケティングの重要な仕事の一つが周囲を巻き込む力。
「力づく」ではなく、少しでも多くの人に賛同してもらえる形で進めた方がスムーズだし、結果も良い方向に行きやすい。
そのためにも、最低限のロジックは組んでおきたい。
マーケティングプランを実行する際に重要な要素
矛盾するようだが、実はマーケティングプランに主観は必要だと思っている。
主観が「パッション(強い想い)」を生むからだ。
パッションがなくてもプランは作れる。
だがパッションがないとプランは実現しない。
プラン実現化の段階では様々な予測不能なことが発生する。
計画していた原材料が手に入らなくなったり、競合が同じアイデアを進めていることが偶然わかったり・・・。内部や関係者から突然の反対者が出てくることもある。
その都度どうするか考える。そして突破する。
その突破の原動力となるのが「パッション」。
あきらめない力。しがみつく力。
なんとかできないかと必死で考える力。
それが窮地に陥ったあなたを救ってくれる。
ロジックで説明しきれなかったけれども、パッションの部分で周囲が理解してくれたり・・・。
必死で考えていたら思わぬビッグアイデアが思い浮かんだり・・・。
プランを信じる強い想いが推進力となり、時にイノベーションを実現する。
泥臭い話だが、プランが実現するかしないかの最後の決め手となるのが「パッション」なのだと思う。
まとめ
マーケティングプランには「ロジック」と「パッション」という2つの相反する要素が必要。
この2つが車の両輪となってプランを実現化させていく。
客観性を突き詰めすぎても逆効果なことが多い。
だが周囲に納得してもらうための最低限のロジックは必要。
出来る限りロジックで周囲を納得させることが望ましいが、同時にパッションを持つことも必要。
パッションが最後の最後にあなたへの追い風を吹かせてくれる。