「マーケティング」とは何か?
「マーケティング」という言葉は2種類の意味合いで使われているように思います。
「マーケティングは市場創造」
定期誌『MarkeZine』の記事タイトルに思わず目が止まった。
https://markezine.jp/article/detail/30617
巻頭インタビューの江崎グリコ/木村氏の発言だ。木村氏はグリコのマーケティング本部で健康事業・新規事業マーケティング部を部長として率いている。
「市場を創造するのが我々の使命」
と木村氏は語る。
嬉しく思った。私と同じ考えの人がいる、よかった!
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マーケティングの目的は「より良い暮らし」を実現すること
昨年の春ごろ、石川県金沢市のロータリークラブでマーケティングの定義についての話をさせてもらったことがある。
まずはおカタい(失礼!)マーケテイングの定義を紹介した。
自社講演資料より
どちらの定義も、
「非常に正確に表現しようとしているのだろうけれど、言葉がカタすぎて今ひとつピンと来ない」
というのが正直な感想。
一方、マーケティングの定義づけは一般の民間企業でもたくさん行われている。
数ある民間的マーケティングの定義の中で私自身が最も腹落ちしているのが、某日系A社のもの。ちなみに某日系A社は日本で数少ないマーケティングカンパニーの一つ。
少し古風だけれども何度も口ずさみたいぐらいの名文である。ぜひそのまま紹介したいところだが、機密情報に触れてしまうとマズイので、ここでは意訳させていただく。(注)原文はもっと流暢で美しいです。
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マーケティングの目的は「人々のより良い暮らしを実現する」こと。そのために「良い商品やサービス」を作り出すことが必要。
「良い商品やサービス」とは「時代のニーズに合った新しい価値を持つもの」である。それによって「新しく市場を創造していく」のがマーケティングの使命である。
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マーケティングは私たちの生活を根本的に変えてしまうくらい大きな力を持っている。
代表的なのはスマートフォンだろう。
この片手に収まる小さなデバイスが、電話でもない、PCでもない「スマートフォン」という市場を創り出し、私たちの情報のやりとりの仕方を根本的に変えてしまった。
愛用している消えるボールペン「FRIXION」も一例。
ボールペンでもないシャーペンでもない「消えるボールペン」という市場を創り出した。そして、私たちの「筆箱事情」を一変させてしまった。というより私は「筆箱」を持たなくなってしまった。これ1本で済むので、ボールペンとシャーペンと消しゴムと・・と組み合わせて持つ必要がなくなってしまったのだ。(代わりに持ち歩いているのがPC&モバイル機器のガジェットケース・・・)
マーケティングとは私たちの新しい生活を作り出すもの。
夢のある話だ。ワクワクする。
マーケティングの目的はこうありたい、と思う。
そして、自分もそういうマーケティングを常に目指していきたい、と思う。
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「マーケティング=集客」は狭義の定義
メールマーケティング
コンテンツマーケティング
SNSマーケティング・・・
今、巷にはこうした言葉が溢れかえっている。
これらの「○○○マーケティング」という言葉には「マーケティング=集客」の意味合いが強い。
この場合「マーケティング」はより「販売」にフォーカスしていることが多い。そして「市場創造」ではなく「既存市場」で競合から客を奪い取ることにピントが合わされる。
「マーケテイング=集客」という意味が間違っているわけではない。
せっかく生み出した新商品も「集客」できなければ売れ残ってしまう。
「集客」はマーケティングを成功させるために非常に重要な行動である。
ただ、ちょっと残念に思うのが、「マーケティング=集客」が狭義の意味にフォーカスしているため、こうした言葉の使い方が増えれば増えるほど、本来のマーケティング=「人々の生活をより良くするために良い商品を生み出すこと」という意味合いがどんどんと薄れていってしまうような気がする。
ちなみに、マーケティングはMBAの主要科目の一つである。アメリカのビジネススクールでは「マーケティングは経営戦略」だと教えられる。
そんな経験もあって、個人的には「マーケティング」は「集客」だけでなくて、もっと広い定義、社会的に大きな意義を持つワクワクする活動なんだ、と信じている。
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