マーケティング戦略は”誰”が作る?
「マーケティング戦略って誰が作るものなんでしょう?」
先日、中期計画作成のお手伝いをしている企業様との打ち合わせで、こんな質問をいただきました。
真を突いた良い質問です。巷に売られているどのマーケティングの教科書には書かれていないと思いますが、いざ実践する際には大事なことですよね。
マーケティング戦略の作り方は2種類
マーケティング戦略の作り方は、大別すると次の2つに分かれる。
- トップダウン型
- ボトムアップ型
【トップダウン型の場合】
チームリーダーが基本一人で作成して上層部に提案するやり方。
チームリーダーに相当する人は一般的には「マーケティングマネージャー」や「ブランドマネージャー」、「プロダクトマネージャー」など。
あるいはそのような肩書名称でなくても事業やチームを統括する責任者やリーダー的な立場にある人がこれに該当する。
社長自身が事業リーダーということも非常に多い。部門の階層が多い企業では「経営企画」などが登場して仕切ることもある。
【ボトムアップ型の場合】
複数の現場担当者が戦略作成に関わるやり方。ワークショップなどによって意見を出し合ってまとめあげたものを、事業リーダーが上層部に提案する。
※実質はトップダウン型とボトムアップ型の中間型もある
トップダウンか?ボトムアップか?
会社により千差万別だが、概してトップダウン型で作成するケースが多いように思う。私自身も当初はこちらだった。だがオススメはボトムアップ型。
【トップダウン型の利点】
- 事業リーダーが自分の考えや思いを最大限に盛り込むことができる。
- 周囲の意見に迎合しない思い切った施策を考えることも可能。
- リーダー自身の熱が入る。責任感もわく。
- 事業リーダーが自分の好きな時間に好きな場所で作成できる
【トップダウン型の欠点】
- 事業リーダーの独りよがりな案に陥ることがある。
- 周囲に理解・納得してもらうための労力がかかる
【ボトムアップ型の利点】
- 複数の意見を交えて複眼的に検討することができる
- 現場の意見が生かされるのでリアリティがある
- 周囲に理解・納得してもらうための労力が少なくてすむ
- スピードが早い
【ボトムアップ型の欠点】
- 現状を大きく変える画期的な案が出にくくなりがち
- スケジュール調整が大変
- 意見が割れてまとまらないことがある
トップダウン型からボトムアップ型に変えた理由
元々はトップダウン型だった。
「マーケティング戦略こそマーケティングマネージャーとしての腕の見せ所。日頃の精緻な観察眼を活かして、現状を打破する屈指のプランを自分の熱い思いを込めて提案して、会社に一矢報いたい!」
本気でそう思っていた。(今思うと、相当つけ上がっていたと思う💧)
だが、これが変わったのはとあるプロジェクトがきっかけだった。
社内のマーケティング戦略書が作成する人ごとにてんでバラバラで判断しにくいために統一フォームを設けることにした。
そして出来上がったフォームが使えるかどうかを確かめるために、実際に戦略を作ってみよう、ということになった。
その際に実施したのが「ボトムアップ型」だった。
衝撃を受けた。
まず、これでもかというくらい多くの考えやアイデアが集まった。一人一人がそれぞれの立場で本当にたくさんのことを考えていることを知って驚いた。
自分一人で考えるよりも、よっぽどユニークな意見が出てくるし、相乗効果でさらに意見が膨らんだり、逆にここは全員が問題視している重要課題なのだ、ということも知れた。
何よりも驚くぐらい短時間に仕上げられる。
そして現場担当者間での課題認識が統一されるので、戦略をまとめた後の進み方が違う。
戦略は実行されて初めて作成する意味がある。
だとすると、実行する当事者が戦略作成に関わるのが最も実行力の高いプランになる、というのは冷静に考えれば極めて当然のことではないか!
それ以来、私は「ボトムアップ型」に切り替えた。
まとめ
「自分一人で考えると、これでいいのか?という不安に思う部分がやっぱり出てくるんですよね・・・。」
と、冒頭の質問者が呟くように言った。
もしあなたが、これまでマーケティング戦略を作ったり、これから作ろうとしていて、どのように進めたらいいか迷っているならば、ぜひ「ボトムアップ型」を取り入れてみることをオススメする。
質も良さ、スピードの速さ、を体感してみてほしいと思う。