「経営戦略」と「マーケティング戦略」

「経営戦略とマーケティング戦略はどう違うのでしょう?」

そんな質問をいただいたので、整理してみました。

経営戦略とは?

まずは定義の確認。

ウィキペディア(Wikipedia)によると「経営戦略」とは、

組織の中長期的な方針や計画

を指す。

そして経営戦略は、戦略を策定する階層や目的によって、大きく四つに分類される。

①全社戦略・・・企業全体、企業グループ全体に関わる戦略(事業部門間の資源配分など)
②事業戦略・・・事業部門・部署ごとに立てる戦略
③機能別戦略・・・生産、マーケティング、財務、人事などの機能ごとの戦略
④その他戦略・・・その他特定の目的を実現するための方針や計画。

(以上、Wikipediaより)

つまり、経営戦略とはこれら全てをまとめた総称のことであり、実体は4つの分類のどれかにあたると考えるとわかりやすい。

全社戦略と事業戦略は行ったり来たりする

全社戦略と事業戦略はどちらを先に考えた方がよいか?

理屈的には全体→事業となるのだと思うが、実態はそう上手く行かないことが多い。

  • 全社戦略が決まっていないと、事業戦略は雲をつかむような手探り状態になる。
  • 逆に、事業戦略がないと、全社戦略は机上の空論に陥る。

ひとつだけ言えるのは両者を同時に考えるのは至難の業だということだ。だから多少の行ったり来たりは避けられない。

もしこれまで経営戦略を全く考えたことがない、あるいは、あらためてゼロベースで考えたいという場合は、事業戦略から手をつけることをお勧めする。

事業戦略をある程度固めた上で全体戦略を考えるようにすれば、ある程度地に足の着いたものとなり、全くの机上の空論となることを避けられるからだ。

事業がたくさんある場合でも全ての事業戦略を作ってみる必要はなく、まずは貴社にとって最も重要そうな事業を2、3選んでやってみるので十分。事業戦略を2〜3つ組み立てた後に全体を俯瞰して見ると、自ずと全社の方針めいたものが見えてくる。

マーケティング戦略とは?

マーケティング戦略は、先ほどの経営戦略の分類によると「事業戦略」における「機能別戦略」にあたる。

では、その中身は一体何か?

いろいろと定義はあるがシンプルにまとめてしてしまうと、

「誰に」「何を」「どうやって」販売していくのかを一貫した流れで組み立てること

だと考える。

メインとなるのは「商品戦略」「販売戦略」「広告戦略」。
だがマーケティング戦略単体で終わることはなく、必ず「生産戦略」「財務戦略」「人事戦略」と連動していく。

戦略を実行するには組織を動かさなければ始まらない。

単に「モノをどうやって売る」という話では済まず、そのために「ヒト・モノ・カネをどうやって配備するか」という話につながって初めて、モノゴトが動いていく。

マーケティングは経営戦略そのもの」と言われる所以はここにある。